【登辞林】(登記関連用語集)


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根仮登記担保 金銭債務が仮登記担保契約の時に特定されていない仮登記担保。根仮登記担保にもとづく担保仮登記は、強制競売等においては、その効力を有しない(仮登記担保契約に関する法律(昭和53年6月20日法律第78号)第14条)。

根質権 極度額の範囲内で、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する質権。根抵当権と同様、元本の確定前においては、付従性及び随伴性が否定される。

根抵当権 極度額の範囲内で、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する担保物権(民法第398条の2)。極度額の範囲内であれば、利息・損害金を何年分でも担保することができる。抵当権の一種ではあるが、元本確定前の根抵当権におけるその性質は、通常の抵当権と異なり、付従性及び随伴性が否定され、金銭消費貸借などの被担保債権が存在しなくても、成立もしくは存続し、被担保債権を譲渡しても、根抵当権は随伴して移転せず、債務の引受があっても、根抵当権者は引受人の債務につき、根抵当権を行使することはできない。
株式会社の所有する不動産に、当該会社の取締役又は当該会社の取締役が代表する他の会社を債務者とする根抵当権を設定するときは、利益相反取引となり、当該株式会社の株主総会(取締役会設置会社においては、取締役会)の承認を要し(会社法第356条第1項、第365条第1項)、当該議事録は、根抵当権設定登記申請において添付書類となる。未成年者が所有する不動産に、親権者の一方を債務者とする根抵当権を設定する行為は、利益相反行為となり、特別代理人の選任を要し、利益相反とならないもう一方の親権者と特別代理人とが共同で代理権を行使する。(→共同根抵当)(→累積根抵当

根抵当権一部移転 (1)元本確定前の根抵当権において、単独で有する根抵当権を他の者と共有の根抵当権とするため,、権利を一部譲渡する場合に生じる権利変動、又は、その登記。
(2)元本確定後の根抵当権において、被担保債権の一部を譲渡、もしくは、一部代位弁済を受けた場合に生じる権利変動、又は、その登記。

根抵当権移転 (1)元本確定前の根抵当権において、債権とは独立して根抵当権を譲渡した場合に生じる権利変動、又は、その登記。
(2)元本確定後の根抵当権において、被担保債権の全部を譲渡、もしくは、代位弁済を受けた場合に生じる権利変動、又は、その登記。

根抵当権元本確定請求通知 根抵当権者は、元本確定期日の定めがある場合を除き、根抵当権の目的物件の所有者に対して、いつでも担保すべき元本の確定の請求をすることができるが(民法第398条の19第2項)、その通知書。この元本確定請求により、根抵当権者は単独で元本確定登記を申請することができるが(不動産登記法第93条)、この場合、当該通知は、配達証明内容証明郵便によることを要し、かつその通知書には、根抵当権の元本の確定を請求する旨、根抵当権のを設定されている物件の表示、全ての根抵当権設定登記の受付年月日及び受付番号、が記載されていることを要する。又、物件所有者の住所・氏名(本店・商号)が、通知書の送付先と不動産登記簿上のものとで異なる場合には、その変更の経緯を証明する書面(住民票、会社履歴事項証明書等)を提出することを要する。元本の確定日は、民法の条文上、「請求の時」とされているが、この「請求の時」とは、登記実務上、当該通知書が物件所有者に到達した日とされている。物件所有者が複数いる場合で、通知書の到達した日が異なる場合は、後に到達した日をもって、元本の確定日と取り扱われる。

根抵当権共有者の権利移転 元本確定前の共有の根抵当権において、根抵当権の共有者の一人が、その権利を第三者に譲渡した場合に生じる権利変動、又は、その登記。根抵当権設定者(物件所有者)の承諾を要し、かつ、他の根抵当権共有者の同意を要する(民法第398条の14第2項、第398条の12第1項)。

根抵当権設定者 根抵当権を設定しようとする物件の所有者で、根抵当権設定登記を申請するにあたり、登記義務者となる者、もしくは、根抵当権の設定された物件の所有者。根抵当権設定者が債務者でなければ、その者は、物上保証人である。

根抵当権の一部譲渡 元本確定前の根抵当権において、単独で根抵当権を有する者が、以後、他の者と共有の根抵当権とするためにする、根抵当権の権利の一部の譲渡。根抵当権設定者(物件所有者)の承諾を要する(民法第398条の13)。

根抵当権の元本確定 根抵当権の被担保債権を特定のものとすること。これにより、被担保債権の譲渡や代位弁済により、根抵当権も随伴して移転するようになり、被担保債権が消滅すると、根抵当権も消滅する。根抵当権の元本確定事由は、当事者の合意によるもののほか、確定期日の到来、根抵当権者の担保不動産競売担保不動産収益執行による差押、債務者又は根抵当権設定者(物件所有者)の破産、第三者による差押(滞納処分によるものや、他の担保権者の差押)、債務者の相続開始後、6ヵ月以内に指定債務者の合意の登記をしなかった場合、根抵当権者又は根抵当権設定者の元本の確定請求、等が法定されている。債務者又は根抵当権設定者の破産、第三者の差押による元本確定は、元本確定の原因となった事実の効力が消滅したときは、元本確定の効力も消滅する。この効力が消滅する前に元本が確定したものとして、根抵当権の移転等を受けた者がある場合は、元本確定の効力は消滅しない。
根抵当権が複数の不動産を共同担保とするものである場合において、一つの不動産につき、根抵当権の元本の確定事由が生じた時は、全ての不動産につき、根抵当権の元本は確定する(民法第398条の17第2項)。登記簿上の確定期日がすでに到来しているとき、根抵当権者又は債務者について相続による移転又は変更の登記がなされた後、指定根抵当権者又は指定債務者の合意の登記がなされないまま6ヶ月を経過しているとき、根抵当権者の差押、根抵当権設定者の破産の登記がなされている時は、登記簿上元本の確定が明らかであるので、元本確定の登記を要しない。根抵当権の被担保債権の範囲を特定債権のみとする変更登記をした時は、元本確定の登記をすることを要しない(登記研究481号134頁)。根抵当権の元本が確定した後に根抵当権の追加設定をすることはできない(平成1年9月5日民三第3486号民事局第三課長回答)。かつて、元本の確定していることが登記簿上明らかでない根抵当権であっても、元本確定登記を経ることなく、「確定債権の弁済」を原因として抹消登記を申請できるとする先例が存在したが(登記研究382号81頁)、登記簿上、元本の確定していることが明らかでない根抵当権につき、確定債権の弁済によって抹消するには、その前提として、元本の確定登記を要し、抹消登記の原因は、「確定債権の弁済」ではなく、「弁済」とすべきであるとされている(登記研究488号147頁)。

根抵当権の元本確定期日 根抵当権者と根抵当権設定者の間で合意された、根抵当権が担保すべき元本の確定すべき期日(民法398条の6、1項)。この期日は、合意をした日から5年以内の日でなければならない(民法第398条の6第3項)。期日の到来前であれば、当該期日を変更することができるが、変更後の期日は、変更の合意の日から5年以内の日でなければならず、変更前の期日の到来前に、その変更登記をしなかったときは、変更前の期日の到来により、根抵当権の元本は確定する(民法第398条の6第3項、第4項)。

根抵当権の債権質入 根抵当権の被担保債権について質権を設定すること(債権質)、又は、その登記。かつて、元本確定前の根抵当権については、その被担保債権を目的とする債権質入れの登記申請は受理されないという先例(昭和47年12月19日民三発第943号民事局第三課長回答)が存在したが、この取り扱いは変更され、元本確定前の根抵当権についても、被担保債権の質入れの登記をすることができることとされた(昭和55年12月24日民三第7175号民事局長回答)。(→抵当権の債権質入)(→指名債権質

根抵当権の消滅請求 元本の確定後において現存債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、物上保証人、抵当不動産の第三取得者等は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この払渡し又は供託は、弁済の効力を有する(民法第398条の22第1項)。根抵当権が複数の不動産を共同担保とするものであるときは、一つの不動産について前項の消滅請求があったときは、全ての根抵当権が消滅する(民法第398条の22第2項)。この消滅請求は、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、することができない(民法第398条の22第3項、第380条)。(→抵当権消滅請求)(→代位弁済)(→第三者の弁済

根抵当権の全部譲渡 元本確定前の根抵当権における、根抵当権の権利の譲渡。必ずしも、被担保債権の譲渡を伴うものでもなく、又、被担保債権の譲渡を同時に行ったとしても、譲渡後の根抵当権の被担保債権の変更契約をしなければ、譲渡債権は担保されない。根抵当権の全部譲渡は、根抵当権設定者(物件所有者)の承諾を要する(民法第398条の12第1項)。債権譲渡を伴う場合、組織形態の異なる法人間の譲渡の場合(銀行と信用金庫、銀行と会社等)等は、通常、被担保債権の範囲の変更も合わせて行う。

根抵当権の被担保債権の範囲 根抵当権の被担保債権の範囲は、不特定債権であることを要し、根抵当権者と債務者との特定の継続的取引契約によって生ずる債権(「年月日当座貸越契約」「年月日手形割引(貸付)契約」等)、根抵当権と債務者との間の一定の種類の取引によって生ずる債権(「銀行取引」「保証取引」「保証委託取引」「売買取引」「金銭消費貸借取引」等)、取引にはよらないが、根抵当権と債務者との間で継続的に生じる債権(「甲工場の排液による損害賠償債権」)、債務者の振出した手形・小切手が根抵当権者に回ってきた場合の債権(「手形債権」「小切手債権」)とされる。特定の債権であっても、不特定な債権と併せて被担保債権の範囲とするときは、債権の範囲全体としては不特定であるので認められる(民法398条の2、昭和46年10月4日民事甲第3230号民事局長通達)。
「銀行取引」「信用金庫取引」に「保証取引」は含まれる。商工組合中央金庫、農林中央金庫は、債権の範囲として「銀行取引」と定めることができる(昭和47年3月11日民事三発第203号民事局第三課長回答、昭和47年3月21日民事三発第235号民事局第三課長回答)。「年月日継続的金銭消費貸借契約」のみを債権の範囲とする根抵当権設定の登記を申請することができる(登記研究質疑応答7858)。
元本の確定前においては、根抵当権の被担保債権の範囲を変更することができる(民法第398条の4第1項)。相互銀行が普通銀行に転換したことに伴い、転換前の「相互銀行取引」は、転換後の「銀行取引」によって生じた債権をも担保するが、設定済みの根抵当権の債権の範囲を「相互銀行取引」としたままで、債権の範囲を「銀行取引」とする根抵当権の追加設定をすることはできず、債権の範囲を「相互銀行取引」から「銀行取引」へ変更登記を申請する場合の登記権利者は、根抵当権設定者(物件の所有者)、登記義務者は、根抵当権者とされる(登記研究494号121頁、432号128頁)。
確定前の根抵当権の全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡をするにあたり、債権譲渡を伴う場合、組織形態の異なる法人間の譲渡の場合(銀行と信用金庫、銀行と会社等)等は、通常、債権の範囲の変更も合わせて行う。
根抵当権の債権の範囲を特定債権のみとする変更登記をすることができ、この登記をした時は、登記簿上、根抵当権の元本の確定が明らかであるため、元本確定の登記をすることを要しない(登記研究481号134頁)。

根抵当権の分割譲渡 元本確定前の根抵当権において、ひとつの根抵当権を二つに分割し一方を他の者に譲渡すること。この登記は、主登記によって、分割前の根抵当権の順位番号を用いてなされ、分割前の根抵当権及び分割後の根抵当権それぞれの順位番号に「(あ)、(い)、・・・」の符号が付される(不動産登記規則第165条第1項〜第3項、第147条第2項)。この登記により、譲渡人が単独で有する根抵当権と、譲受人が単独で有する根抵当権が同順位で存在することになる。根抵当権の分割譲渡は、物件所有者の承諾を要する(民法第398条の12第2項、第3項)。

根抵当権の優先の定め 根抵当権の共有者は、各債権額の割合に応じて弁済を受けるのを原則とするが、元本確定前に、これと異なる割合を定め、又は、一方が他方に優先する旨を定めた時は、その定めに従うとされる(民法第398条の14第1項)。その定めの記載の仕方としては、「甲は乙に優先する」「甲6、乙4の割合」等とするのが相当とされ、この登記と根抵当権設定の登記を同一の申請書ですることはできない(昭和46年10月4日民事甲第3230号民事局長通達第13)。優先の定めを廃止することにかかる登記は、当該優先の定めの抹消登記をするのではなく、根抵当権の変更登記として、根抵当権設定登記の付記登記によってなされる(登記研究質疑応答7765)。

根保証 当座貸越取引や、手形割引取引等の金融機関における取引、その他継続的取引において生じる、不特定の債務についてする保証。民法第465条の2、1項では、「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約」を「根保証契約」と言うとしている。根保証のうち、限度額や期限を定めず、当該取引に関する一切の債務を保証するものを包括根保証という。信用保証とほぼ同様の意味で用いられることもある。

年金資金運用基金

年金福祉事業団

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